年の瀬が近づくと、こたつに向かって一枚一枚、年賀状の宛名を書く。かつてはどの家庭にも見られた冬の風物詩でした。元旦の朝、郵便受けにどっさり届いた年賀状を家族で囲み、一枚ずつ読み上げた記憶をお持ちの方も多いことでしょう。
年賀状や暑中見舞いを書く習慣は、家族や親戚、友人と一年の節目に思いを伝え合ってきた温かな営みです。手書きの賀状やプリントゴッコの思い出を手がかりに、ご両親と季節の便りの習慣をふりかえる。その楽しみ方を書きました。
昔の年賀状づくりの風景を思い出す
年賀状の話を切り出すなら、まずは昔の年賀状づくりの風景を思い出してもらうのがおすすめです。一枚ずつ手をかけて作った時代の記憶は今も鮮やかに残っています。
干支の絵を彫った芋版やゴム版を、一枚ずつ押していった手づくりの賀状。やがて登場したプリントゴッコで、家族総出でインクを刷った年末の夜。「何十枚も刷って、乾かす場所がなくて困ったね」。そんな苦労話までふくめて当時の年の瀬の情景がよみがえってきます。
届いた便りにまつわる思い出を尋ねる
自分が出した年賀状だけでなく、届いた便りにまつわる思い出を尋ねると話はいっそう広がります。一枚の賀状の向こうには必ず誰かとのつながりがあるからです。
遠くに住む親戚から届いた、子どもの成長を知らせる写真入りの年賀状。お年玉付き年賀はがきの番号を、新聞の当選番号と照らし合わせてわくわくした朝。久しぶりに便りが来て、懐かしい人の近況を知った喜び。一枚ずつに、その人ならではの物語がこもっています。
年賀状だけでない、季節の便りにも目を向ける
季節の便りは年賀状だけではありません。暑中見舞いや寒中見舞いといった折々のあいさつにも目を向けると、一年を通じた便りの習慣が見えてきます。
夏の盛りに届く、朝顔や風鈴の絵が涼やかな暑中見舞い。旅先から送った絵はがきや、引っ越しの知らせ。喪中はがきが届いて、しばらく会っていなかった人の暮らしに思いをはせたこと。便りの一通一通が、季節の移ろいと人とのつながりをそっと運んできてくれました。
昔と今の、伝え合い方をくらべる
季節の便りの話は、昔と今の伝え合い方をくらべると世代を超えて盛り上がります。今は、あいさつの届け方もずいぶん変わったからです。
かつては一枚ずつ手書きしていた年賀状も、今はパソコンで作ったり、メッセージアプリのスタンプ一つで新年のあいさつを済ませたりすることも増えました。「昔は元旦に届くように、年末の忙しい中で何十枚も書いたものだ」という話に、「今は電話一本、画面ひとつで伝わるね」と返す。そんなやりとり自体が温かな会話になります。どちらが良い悪いではなく、伝えたい気持ちは今も昔も変わらないのですね。
古い便りを、整理しながら残す
押し入れにしまってある古い年賀状や便りは、ご両親と一緒に整理しながら思い出として残しておくとよいでしょう。一枚ずつ眺める時間そのものが豊かな会話になります。
差出人ごとにまとめたり、印象に残った一枚を写真に撮ってデータで残したり。整理しながら「この人とは、どんなつながりだったの?」と尋ねれば、ご両親の交友の歴史が見えてきます。なつかしい便りの話題で会話を広げたいときには、昭和・平成のテーマを3 択クイズで楽しめる『思い出ドリル』のような Web アプリを一緒に囲むのもよいきっかけになります。
年賀状や季節の便りは、ただのあいさつではなく、家族や大切な人とのつながりを一年の節目ごとに確かめ合う営みでした。手間をかけて一枚を仕上げた時間には、相手を思う気持ちがそのままこもっています。
今度の年末やお盆、ご両親と一緒に古い年賀状の束を開いてみてはいかがでしょうか。「この人、元気にしているかな」。一枚の便りからこぼれ出す思い出話が家族の時間を温かく満たしてくれます。